・返報性の原理って何?
・身の回りでどう利用されてるの?

こんな悩みに答えます。
返報性の原理とは、恩恵を受けたらお返しをしたくなる心理のことです。無意識のうちにもっとも強い影響を受ける心理的要因のため、これを知らないと、本当なら断りたい要求を受け入れてしまうことになります。
あなたの身の回りだけでなく、セールスの場面でもよく使われる心理テクニックです。今回は返報性の原理が働く理由や、セールスでどのように使えるかを解説しています。
本記事を参考にすると、嫌な要求からの身の守り方、セールスでの応用方法が分かるようになります。
・返報性の原理を分かりやすく解説
・返報性の原理が働く3つの理由や、返報性を利用した営業テクニックを紹介
・メンタリストDaigoさんもおススメしている影響力の武器を参考に解説しています。
目次
返報性の原理とは何か

返報性の原理とは、他人から恩恵を受けたらお返しをしなくてはいけない、と感じる心理のことです。
返報性の原理は身の回りでよく観察されるだけでなく、無意識のうちに最も強い影響力を受ける心理的要因です。
返報性の原理は強い影響力を発揮する
私たちは返報性の原理に無意識のうちに強い影響力を受けてしまいます。
なぜなら、返報性の原理があるために親切や贈り物などの恩恵を与えてくれた人に対して将来必ず「お返しをせずにはいられない気持ち」になってしまうからです。
実際に、この「お返しせずにはいられない気持ち」は人間社会の文化に広く浸透しています。そして、人間文化だけにある特徴でもあります。
もし返報性の原理を破った場合、つまり、他社の親切を受け入れるだけでそれに対してお返しをしようとしない人は社会集団のメンバーから嫌われます。
「たかり屋」「恩知らず」というレッテルを貼られてしまいます。
そのため子供の時から、恩恵を受けたら落ち着かない気持ちになるよう、条件づけられていると言ってもよいでしょう。
返報性の原理が効果を発揮する3つの理由

返報性の原理は普通なら断る要求も受け入れさせる魔法のテクニックです。
その理由は3つあります。
- 気に食わない相手の要求も受け入れてしまう
- お返しをする相手を自分で選ぶことができない
- 受けた恩恵以上のお返しをしてしまう
具体例を交えながらご説明します。
気に食わない相手の要求も受け入れてしまう
実際に、ある宗教団体は返報性の原理を用いて大きく発展しました。その主要な財源の一つが公共の場所での寄付金です。
この教団の身なりは頭の毛を剃り、だぶだぶの僧衣を身にまとい、ビーズの首飾りを身に着けていました。
平均的なアメリカ人はこの教団の外見や服装、行動を好んでいなかったので当然、寄付金を提供することを渋りました。
そこで教団はやり方を変えました。返報性の原理を取り入れた戦略を取ったのです。
どういうことか?
寄付金を要請する前に、ねらいつけた人に本(聖典や協会の雑誌)や花などを「プレゼント」として渡したのです。
何も知らない通行人は突然自分の手に花を押し付けられたり、ピンで上着に花を留められたり返すことができない状況に追い込まれます。
つまり、返報性の原理を無理やりその場面に持ち込んで寄付金を要請したのです。
これにより、この教団は膨大な利益を獲得し、アメリカ国内外に300か所以上の支部を持つまでに成長しました。
お返しをする相手を自分で選ぶことができない
「お返しせずにはいられない気持ち」が生じるのは自分が受け取った恩恵が、自分で頼んだものである必要はありません。
ある人が頼みもしないのに「勝手に親切」を施すことによって、私たちの心に恩義の感情を生み出すことができます。
つまり、見知らぬ人や嫌いな人、招かれざる客であっても最初にその人から親切な行為をされてしまうと、一つぐらいならその人の要求に応じてもいいという気持ちを引き起こします。
先ほどの宗教団体の例ですが、強制的に花を受け取らされて、寄付をした多くの人はゴミ箱を見つけると手にしていた花を投げ捨てたようです(苦笑)
このように返報性の原理は、ゴミ箱があればすぐさま捨てられてしまうような、望まれていない贈り物でさえ効果を発揮するのです。
受けた恩恵以上のお返しをしてしまう
最初のささいな好意は相当大きな好意を返さなければならない、という義務感を生じさせます。
恩義を受けている状態というのは時にとても不快で負担を感じてしまいます。
なぜなら、最初にもお話ししましたが返報性のルールを破る人、つまり、他社の親切を受け入れるだけでそれに対してお返しをしようとしない人は社会集団のメンバーから嫌われます。「たかり屋」「恩知らず」というレッテルを貼られてしまいます。
そのため、子供の時から恩恵を受けたら落ち着かない気持ちになるよう条件づけられているからです。
返報性の原理と譲歩

譲歩することも返報性の原理の1つです。
なぜなら、譲歩してくれた相手には譲歩でお返ししなければならない、という気持ちが生じるからです。
実際に、こちらが勝手に最初の譲歩を行うと相手に同じような譲歩をするよう圧力をかけることができます。
例えば、こちらが最初に大きな要求を出します。
相手がそれを拒否した後に、それよりも小さな(こちらがもともと受け入れて欲しいと思っていた)要求を出します。
こうすると相手は譲歩してくれたと考えて小さな要求を受け入れやすくなるのです。
これが有名なドア・イン・ザ・フェイステクニックと呼ばれるものです。
譲歩が効果を発揮する2つの理由
譲歩が効果を発揮する理由は2つあります。
1つは返報性のルールが働いていること。
もう1つはコントラストの原理が働いているからです。
私たちは2番目に提示される価格が最初に提示された価格よりもかなり違う場合、
実際以上に最初の価格より安く感じる傾向があります。これをコントラストの原理と言います。
最初に出される大きな要求との比較を通じて
あとの小さな要求をことさら小さく見せることができるのです。
搾取されてるのに気づかない?
譲歩された側は、自分がうまく影響を与えて相手から譲歩を引き出したと考えるため、その取り決めに対して大きな満足感をも感じるようになります。
つまり、譲歩という強力な魔法によって搾取された人は、騙されたと気づいて憤慨するどころか大きな満足を得て、その取り決めを喜んで受けれてしまうのです。
返報性の原理とは【まとめ】
- 返報性の原理とは
他人から恩恵を受けたら、お返しをしなくてはいけないという心理のこと。
- 返報性の原理が効果を発揮する理由は3つ
- 気に食わない相手の要求も受け入れてしまう
- お返しをする相手を自分で選ぶことができない
- 受けた恩恵以上のお返しをしてしまう
- こちらが勝手に最初の譲歩を行うと
相手に同じような譲歩をするよう圧力をかけることができる。
- 譲歩が効果を発揮する理由は2つ
- 返報性のルールが働いている
- コントラストの原理が働いている
- 譲歩の魔法にかかると搾取されてるのに気づかない
▽参考書籍▽
次の記事では
コミットメントと一貫性を紹介します。
一緒に学んでいきましょう!
最近のコメント